笑顔でお弁当交流 石巻渡波 “ワタママスマイル”
宮城県の海岸線は、南北に大きく二分されています。
仙台平野が広がる南部は、海から砂が運ばれ形成される広大な砂浜が、千葉県から続き、 北部は青森県から北上山地が走り、切り立った岸壁が目立つリアス式海岸となっています。
その美しい双方の海岸線の境となるのが、牡鹿半島の付け根である石巻市渡波地区。
太平洋から運ばれ打ち上げられた砂浜。
北上山地南端であるリアス式海岸。
さらに、牡蠣養殖が盛んな内海である万石浦。
石巻市渡波地区は、自然豊かな海に三方を囲まれたこんな素敵なところ。
しかしこの渡波地区にも、2011年3月11日の東日本大震災による大津波が押し寄せ、多大な被害が発生しました。
地盤沈下が目立ち、護岸工事の本格着手はこれからであるこの渡波地区に、繁盛している一軒のお弁当屋さんがあります。
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ワタママ食堂 |

東日本大震災直後、地域避難所であった渡波小学校には、2,000名以上の方々が肩身寄せ合い避難していました。
渡波小学校避難所での約7ヶ月間、炊き出しなどの食事支援を行っていたのが、地元渡波の約20名の女性でした。
避難所が閉鎖された後は、正式にボランティア団体として組織化し、大震災から8ヶ月を過ぎた2011年11月21日に『ワタママ食堂』を開店し、被災された6名を雇用し、生活に不自由される高齢者への食事を提供する宅配サービスを開始。
開店から程なくし、食堂として借りていた物件の老朽化により解体が決定。
お弁当の宅配と平行し、高齢者の安否や健康状態の確認を同時に行っていた見守り支援が滞ってしまうと、被災された多くの方々が困ることから活動継続を模索していましたが、資金面や用地確保が進まず、再建を諦め2012年4月にやむなく閉店。
そんな中、ご近所の皆さんから再建の強い要望があり、再建を決意。
資金集めの為全国を廻って寄付を募り、財団等からの支援を受け再建の目処が立ち、2014年4月20日に渡波の海岸から200メートルの津波浸水地域に約2年ぶりにリニューアルオープンとなりました。

店内はほのかな杉の香りが漂い、清潔感のある飲食ブースと、ボランティア活動からのご縁である、愛知県瀬戸市のデザイナーの焼物が展示されています。

地元渡波のお母さん方が手際よく弁当を詰めていきます。

この日の日替わり弁当は、唐揚げ弁当。
ワタママ食堂店長:日妻たみ子さん
「お年寄りが食べやすいように、から揚げは通常のものと、ふっくらとしたものと二種類揚げています。」

お届け先には、全て手書きのメッセージが添えられます。

専用発砲箱を配達車に詰め込んで...

牡鹿半島方面の仮設住宅や嵩上げ復旧工事の現場事務所へと届けられます。

一般社団法人 ワタママスマイル 代表理事:菅野芳春さん
「被災して職を失った女性が働ける場をつくり、お弁当を宅配しながらの仮設住宅見守り支援を目的として立ち上げました。 このワタママ食堂が、地域の方々と外部の方々とが触れ合い集える場として活用していただけると嬉しいですよね。」
今後は、環境に配慮した循環型の食堂・お弁当店として、生ごみの堆肥や、太陽光パネルを設置したエネルギーの自給化を予定しているそうです。
そして、地域の交流拠点として、様々な方々と触れ合い、一緒に野菜を育てながら、喜び笑える場をつくっていきたいそうです。
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(TOM)
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