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栃木県の作新学院の生徒たちが植樹に訪れました

看板

先週の6月27日(木)、栃木県にある作新学院中等部2年生の生徒148人が、
気仙沼市波路上地区で植樹を行いました。

波路上地区は昨年「龍の松」で有名になった岩井崎と国道45線の間で、
以前(2012年8月9日の記事)紹介した地福寺の近くにあり、
付近には津波で被災を受けた向洋高校、気仙沼市内の被災物を集めた集積場や焼却場などがあります。
元々は緑豊かで、付近には海水浴場もあった風光明媚な場所だったのですが、
あの津波で全てが流され、今は荒地が広がっています。
ここでも人が暮らしを営んでいたな、と思わせるのは、あちこちにある「家の土台の跡」。
それも雑草に覆われ、早2年経ちます。

そんな場所の一角を中学生の手により緑豊かな森にしよう、
というプロジェクトが始まったのは1年前からでした。
この波路上地区にある地福寺というお寺のご住職と、
同校の関係者の方が懇意にしていたことが発端でしたが、
保護者の方々へ何度も説明して、ようやくこのプロジェクトが実現したそうです。

同校の生徒たちが到着したのは午後1時。今回は2泊3日の旅で、
前日は松島見学や石巻の門脇小学校で地元の中学生と花壇づくりをし、
この日の午前中は南三陸のさんさん商店街を訪れ、昼食を済ませてからやってきました。
当日は夏らしい晴天に恵まれたものの、朝方まで大雨が降っていたため、
さほど気温も高くなく、作業するにはもってこいの日よりです。

バスから降りた生徒たちは地福寺の本堂に入り、
まず主催者の一人である地福寺のご住職から被災当時のできごと、
そして「命の大切さ」にまつわる様々な話を聞き、

講義1

次に、この地域で植林活動を行っている地域団体「海べの森を作ろう会」の代表、
菅原信治さんから、なぜ今この場所に森が必要なのか、
森が地域の防災にどのように役立つのか、そのためにはどんな樹木が必要なのか、
といった話に耳を傾けました。

講義2

30分の話の後、生徒の一人ひとりは用意された植樹用の苗木を持って、
植樹の会場に向かいます。その苗木は全て「海べの森をつくろう会」の人々が
ビニールハウスを建てて育ててきたものだそうです。

苗木を持つ1

さて植樹会場では、菅原さんが植樹にあたっての注意事項を述べた後、
クラス別に順番を待って植樹を行います。前の班の植樹がなかなか終わらないと、
待っているほうも暇を持て余し、ついついお喋りに花が咲いて賑やかになっていきます。

説明1

集合1

話を聞く2

すると引率の先生が「みんな、ちょっと静かにして周りを見て」と声をかけます。
「今ここには何もないけれど、ここも震災前はたくさんの人が住んでいたんだ。
そして多くの人が悲しい思いをしたんだ。今ここにはいないけど、その人達の気持ちを考えてみようか」と
語りかけると、今までの賑やかな雰囲気は一変し、緊張感のある空気に変わりました。

中には長旅でちょっと疲れて眠くなっているような生徒も…、
ご住職はそんな子供を見つけると、すぐに駆け寄り、
「大丈夫かい、気分が悪くなったら本堂で休んでいてもいいんだよ」と
優しく声をかけてまわっていました。

順番を待っている生徒の子に「今回の旅行で、いちばんの思い出は」と訊ねてみると、
「門脇小学校で地元の子と一緒に作った花壇」という答えが返ってきました。
花壇を作りながら、地震の時にどんなことがあったのか、
今はどんなことに夢中なのか…、同い歳ならではの様々な話で盛り上がったようです。

植樹1

植樹3

植樹4

植樹2

2時間半にわたった全クラスの植樹も終わり、地福寺のご住職と菅原代表が植樹へのお礼をした後、
生徒の代表が返礼の挨拶を、植樹した場所に「作新の森」という看板を立てて、
無事、植樹は終了し、その後、一関に向かい翌日は平泉を見学して帰路につきました。

返礼2

返礼1

植樹あと

今回のこの植樹では同校の理事長も参加していました。
それだけ、この取り組みには本気であることの表れなのかもしれません。
ご住職によると、この取り組みは今後も続くようで、
これからこの波路上地区一帯のあちこちに「作新の森」が広がっていくようです。

集合写真1

ここで植樹を体験した生徒たちが、やがて大人になって、
恋人や家族や孫と再びこの地を訪れ、「この森は僕が、私が植えた木でできたんだよ」と
笑顔で話す姿が、きっとやってくることを、心から願っています。

苗木2

ちなみに「海べの森をつくろう会」では、
植樹のプロジェクトに参加してくれる団体や会員を募集中です。
今年の10月にも第2回目の植樹祭を開催する予定です。
詳しくは同会のホームページをご覧ください。

◆「海べの森をつくろう会」ホームページはここをクリック◆
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